神様の恋まじない

「まあなんにせよ、お願いは三つ叶ったんだから結果オーライってやつですよ!」

 にこにこと幸せそうに笑う陽菜ちゃんに、それ以上なにも言えなくなってしまう。

 ……だって、わたしはなんて言うのが正解なの?

 亮と付き合えてよかったね?

 ……ないない、言えるわけない。

 嘘でもそんなこと、言いたくないよ……。

 亮はもう陽菜ちゃんと付き合っているんだから、諦めなきゃいけないっていうのはわかってるけど……。

 それとこれとは別の問題だ。

「けど、謎ですよねー。大切なものを奪われるっていうのもあったじゃないですか。私お願い事叶ったのに、なにも奪われてないんです」

 陽菜ちゃんが髪を指先でくるくるといじりながら、窓の外を眺めている。

 ……じゃあやっぱり恋まじないなんか偶然で、亮と付き合えたのはただ本当に、ふたりがそうなる運命だったからなんだろう。

 ……おまじないの力でくっついたと言われた方が、まだマシだった。

 そう思うわたしは、性格が悪いのかな。

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