神様の恋まじない
腐れ縁にもほどがあると思う。
クラスはずっと一緒だし、いまは教室の席だって隣りだし。
……いまも、こんなふうに隣りになるなんて。
まるで、呪いみたいだ。
亮から離れられない呪い。
ちらりと目線だけ横にやれば、澄ました顔で凛とたたずんでいる亮がいる。
肩がぶつかりそうな距離感に、心臓はどこどこと早鐘を打った。
こんなに近い距離にいるのは、いつぶりだろう……。
この二年で、あっという間に身長差がついた。
小学生の頃は同じくらいの身長だったのに、いまはわたしより頭一つ分くらい抜きんでている。
これでも、女子の中では身長高い方なのに……。
身体にこれだけ差が出てくれば、そりゃあ名前を呼ばなくなったり、心も同じように変化していくものだよね。
なんて、近くにいるとどうしても亮のことを考えてしまう。
……この間、陽菜ちゃんに釘をさされたばっかなのに。
あれから陽菜ちゃんとは何事もなく、むしろ関わりは以前より減った。
もう教室の外から陽菜ちゃんがわたしに声をかけてくることなんてない。
ちょうどいい機会だと思う。
いい加減、この気持ちに区切りをつけないといけないから。
そうは思っても、自分の思い通りにいかないのが恋だから。
諦めなきゃと思えば思うほど、わたしの心は未練がましく、亮にしがみついている気さえする。