神様の恋まじない
ほかの人を好きになれたら楽なのに。
どうして心はわたしの言うことを聞いてくれないんだろう。
複雑な気持ちがないまぜになって、顔に出ないよう必死になった。
激励の音楽を吹奏楽部が演奏しはじめた。
そのリズムで応援歌の合唱が始まるけど、口はまるで金魚みたいにぱくぱく動かしているだけで、声なんて全然でていなかった。
隣りから小さくも応援歌を歌う亮の声が聞こえてきて、たったそれだけのことがわたしの心を大きく揺すぶった。
少しでも動いたら肩が触れそうで、かち合わない視線が悲しくて……。
わたしが亮を好きでい続ける限り、こんな思いをし続けることになるんだよね……。
同じようにこの前みたいに陽菜ちゃんのことも悲しませることになるんだ。