神様の恋まじない
……もう、やめちゃいたい。
亮のことを好きでいるのを。
あんなに戻りたいと願ったあの日が戻ることはないって、知っているから……。
本気でそう思う。
亮のことが気にならないくらい、誰かほかの人を好きになって付き合って。
早く、もうあの日のことを思い出さなくていいようになりたい。
亮の言動や存在ひとつに、一喜一憂しなくてよくなりたい。
そのときわたしの頭にひとつ、ぽっと浮かんだ。
……そうだ。
恋まじないって、恋愛の願い事ならなんでも叶えてくれるんだったよね?
もしかしたらわたしのこれも、叶うんじゃないの……?
陽菜ちゃんの話は正直、半信半疑だ。
でも、もし本物なら。
陽菜ちゃんが亮と付き合えるくらいなんだから、わたしのお願いくらい、叶えられるんじゃないの……?
昔は嘘だって、ばかみたいって思っていたくせに。
いまだって心から信じ切れてはいないくせに。
それが本物であればいいと心底願ってる。
わたしは藁にも縋る思いで、それを頼ろうとしている。
頭の中は、一気に神様の恋まじないのことでいっぱいになった。