神様の恋まじない

「……律とあんなに仲よかったっけ?」

「へ?」

「……この前、一緒に帰ってるの見た」

 こんなところに連れ込まれてなにを言われるのかと身構えた時間と、どきどきした時間を返してほしい。

 かなりの間を空けて問われたそれは、想像もしていなかった質問で、最初なんのことか意味がわからなかった。

 少しだけ考えた後、なつきと律と三人で帰ったあの日のことだとやっとわかった。

 同時に、健気に亮を待つ陽菜ちゃんのことも脳内に鮮明に浮かんで消えていった。

 ……まさか亮、それだけのためにこんなところに連れ込んだの?

 陽菜ちゃんに見られたくないっていうのはわかるけど……。

 それに、律とわたしの仲がいいからって、亮になんの関係があるというんだろう。

 ……よくわからない。

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