神様の恋まじない
◆そうさせたのは誰?◆
「前から思ってたけど、おまえらってほんと陰険だよなー」
「……はあ? いまなんて言ったの?」
亮といつも一緒に連れ立っているクラスの男子が、嫌味っぽくそう言った。
昼休みで騒がしかった教室内の一角には、その瞬間冷え切った空気が一気に流れ込んだ。
その言葉を受けた凪ちゃんは、きれいに整えられた眉毛をゆがめて、男子たちをきつく睨んだ。
ことの発端は、凪ちゃんたちのいつもの陰口だった。
今日はいつもより早くわたしたちのクラスに顔を出した陽菜ちゃん。
例のごとくこちらに気付いてもらえるようにと、ちょこまかと動き回っていた。
後ろのドアから顔を出したり、そうかと思えば前の方のドアに移動したり。
二年の教室に入りにくいのは、百歩譲ってわかる。
でも、それも毎日続けば、ふつうは慣れていくものなんじゃないの?
そう思うからこそ、陽菜ちゃんのその行動はまるで亮だけじゃなく、ほかの男子の気を引いているようにも見えた。
わたしには関係のないことなのかもしれない。
それでも、そんな陽菜ちゃんを見て、いつになくもやもやしたんだ。