神様の恋まじない

 どれだけそうしていたのかわからない。

 少しひとりになりたいと言ったわたしになつきは笑って、早めに帰るんだよと言い残して先に帰っていった。

 あたりは夕日に染まってる。

 もう、部活は終わったころかな。

「……やっぱりここにいた」

 急に影が落ちて、わたしに声が降ってきた。

 見上げると逆光で顔は見えないのに、それが誰なのかすぐにわかった。

 ……亮だ。

 人ひとりぶんのスペースを空けて何事もないかのように平然と、亮は隣りに座ってきた。

 ……忘れたいって、努力するって言った傍からこれだ。

 いい加減、いちいちどきどきしちゃうのをやめたいのに……。

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