神様の恋まじない
「ん」
すると亮は突然自分のノートの端っこをびりびり破いたかと思うと、破いたうちの半分をわたしに渡してきた。
「それに好きな人書いて」
「え……っ!?」
それはあまりにも突拍子のないことだったから、悲鳴にも似た小さな叫び声が自分の口から飛び出した。
だって、これに好きな人の名前を書いて渡すってことは、もう完全に告白だ。
驚くのも無理はない。
「ばかっ、声でかい!」
「あっ、ご、ごめん……!」
焦ったような亮の声に、慌てて自分の口を両手で抑えた。
そんなことをしたって遅いってわかってるけど……。
わたしたちの声が大きかったのか、各グループの様子を見に教室内を周っていた理科の先生が、こちらをちらりと一瞥する。
ふたりで咄嗟に、ノートをとっているふりをした。
「俺も、書くから。まりかも書いて」
先生の注意が逸れたのを見計らって、亮がわたしに小声でそう言った。
その目はすごく真剣で、まっすぐだった。