神様の恋まじない

「……なんでもない、ごめん。でも、」

 言い出したら止まらなかった。

 約二年分の蓄積された思いは、絡まったやっかいな糸みたいに、簡単にはほどけてくれない。

 亮がなにか言いたげに口を動かしたけど、見なかったふりをした。

「……亮がわたしと距離を置いてるのなんて、わかってるよ。もうわたしのことを何とも思ってないことくらい。……お願いだから、もうこういうふうに近づかないで。中途半端なこと、しないでほしい。……もう、関わらないでほしい」

 あの日に戻りたいっていう気持ちは、いつの日からかわたしの中から消えていた。

 亮のことを好きでい続ける日々は幸せだったけど、いつの間にかつらいことの方が多くなった。

 陽菜ちゃんを見て笑う亮も、視線が交わらない日々も、ぜんぶぜんぶ忘れたい。

 なかったことに、してしまいたい。

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