神様の恋まじない
◇満月の夜◇

 あの日に戻りたい、戻ってやり直したい。

 心から願ったそんないつかの思いはもう、わたしの中に微塵も残っていなかった。

 ……忘れたい。なかったことにしたい。

 こんなに苦しいのなら、記憶ごと全部消してくれてもかまわない。

 そんな一心だった。

 亮への恋心を消してほしい。

 こんなぐちゃぐちゃな気持ちで心からそう望む日が来るなんて、思ってもみなかった——。

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