神様の恋まじない

 間に合わなかった……。

「……できなかった」

 思わずがっくりと、地面に崩れ落ちた。

 わたしはなんのために、ここにきたの?

 勇気だって、そう何度も出せるものじゃない。

 こんな夜中にひとりでここに来るのにどれだけ勇気がいったか、亮は知らないでしょ?

 だけど亮は「できなかった」と言ったわたしの言葉に心底安堵したかのように、「……よかった」と呟いた。

 そうかと思えば地面に膝をつくわたしの横に、しゃがみ込んだ。

 その姿に動揺する。

 どういうこと……?

 なんで亮はこんなに焦ってるの?

 理由がなにひとつわからない。

 それに、どうしてここにいるの……?

 わけもわからず、うつむいている亮の頭にある右巻きのつむじをじっと見つめていた。

 なにがなんなのか、全然わからない……。

 呼吸が落ち着いてきた亮はよいしょと立ち上がった後、「とりあえず、帰ろう」と、まだ混乱しているわたしの手を焦ったように強く引いて歩き出した。

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