愛し愛され愛を知る。【完】
「俺が気に入らないならそれでもいい。だがな、真彩や悠真に関わる事は見過ごせねぇ」
「へぇ~? 組長さんはすっかり真彩に惚れ込んでるって訳だ? 良かったなぁ、真彩。誰の子供(ガキ)だか知らねぇけど、面倒みてくれる男が傍に居てさ」
「…………この子の事を、そんな風に言わないで。それに、理仁さんは行き場の無かった私と悠真を保護してくれただけよ。そういう言い方しないで」

 惇也は常に喧嘩腰というか、相手の神経を逆撫でする様な事ばかり口にする。

 そんな惇也を前にした真彩は怒りに任せるのではなく、一旦深呼吸をして怒りを鎮めようと試みた。

(こんな人が、悠真の父親だなんて……)

 一度は愛した人の事を悪く言いたくは無いと思う真彩だけど、何よりも大切な悠真を馬鹿にするような発言だけはどうしても許せないでいた。

「それにしても、お前は男に寄生しないと生きていけない訳? 俺の時もそうだ。お前さえ居なければ俺は……」

 冷静さを保ちつつあった真彩だったのだけど惇也の言葉を聞く度に怒りがふつふつと沸き上がり、

「私は、別に寄生してるつもりなんてない! 一人でだってやって来れたわ! だから、貴方と別れた後でこの子を一人で産んで育てたのよ!!」

 怒りに任せて大声でそう口にした真彩のその言葉。よく聞いていなければ流してしまいそうなものだったけれど、惇也は聞き逃さなかった。そして、真彩の言葉で悠真が誰の子供なのか見当がついてしまった。
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