愛し愛され愛を知る。【完】
「ママー! これほしい!」
「え? 悠真こういうの持ってるでしょ?」
「これちがうやつ!」
「同じようなのはいくつもいらないよ。せめてもっと違う感じの玩具にしようよ?」
「いや!」

 アイスを食べ終えて玩具売り場へとやって来た真彩たち。悠真は沢山並ぶ玩具を眺めては欲しい物を手に取り真彩に欲しいと交渉するも、似たような物は駄目だと言われてまたしても駄々をこねる。

「悠真、我がままばかりは駄目なの。それは置いて来なさい」
「やだー! これがいい!」

 理仁は電話がかかってきたと店の外に出て電話をしている最中で、理仁が戻って来る前に諦めさせたい真彩は必死に説得するも、一向に諦める気配がない。

「駄目って言ってるでしょ? 聞き分けのない子はママ嫌いだよ?」

 最近悠真がどんどん我がままになっているのは欲しい物ややりたい事を何でも叶えてやっているせいだと思っている真彩。理仁たちの厚意は有難いが、何でもかんでも与えていては教育上良くはないので何とかして諦めさせたい思いからか、ついついキツく言い過ぎてしまう。

「……っう……ひっく……ママ、きらい……すぐおこるぅ……」
「あ……ご、ごめんね……」

 そうなると悠真は悲しくなって泣いてしまうので、その姿を見ては自己嫌悪に陥る真彩。

「うわーん!」
「何だ、何かあったのか?」
「理仁さん……」

 電話を終えて戻って来た理仁は泣き出す悠真を抱き上げてあやしながら真彩に話を聞いた。
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