愛し愛され愛を知る。【完】
 結局欲しい玩具をいくつか買って貰った悠真。すると今度はゲームセンターに行きたいと言い出した。

「あのね、ようちえんでたくやくんがくれーんげーむやったっていってた! ゆうまもやりたい!」
「クレーンゲームは難しいと思うよ?」
「たくやくんはとれたっていってた! ゆうまもとる!」
「うーん、取れるかなぁ……」

 幼稚園に行き始めてからというもの、お友達が何かをやったという話を聞く度に自分もやりたがるようになった悠真。お手伝いとか為になることならば喜んでやらせる真彩だけど、お金をかけてやるような物はあまりやらせたくないと思ってしまう。

「何事も経験は大切だ。俺が教えてやるからやってみろ」
「ほんと!? りひとすき!」
「どれを取るんだ?」
「えっとねー、このおおきいクマさん!」

 理仁が教えてくれるという事でゲームセンター内へ着くや否や、挑戦するクレーンゲームの品定めをしていた悠真は大きなクマのぬいぐるみが並べられたクレーンゲームを指さした。

「それは多分難しいと思うよ? もう少し違うのにしたらどうかな?」

 真彩は取れなくて不機嫌になって騒ぎ出す事を考慮してなるべく取れやすい台の景品を選ばせようとしたのだけど、

「そうか、それじゃあこれをやってみるといい。ほら、ここにこの百円玉を入れるんだ」
「うん!」

 理仁は悠真がやりたいという台をやらせるつもりのようで、硬貨を取り出すと悠真に投入口を教えてお金を入れさせた。
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