愛し愛され愛を知る。【完】
 それから何度か挑戦した後、

「とれたー!」

 確率機と呼ばれるものなので、タイミング良くその瞬間を迎えたのだろう。アームの力が強まってぬいぐるみを景品口まで運ぶことが出来、無事クマのぬいぐるみが悠真の元へやって来た。

「凄いね、悠真! 良かったね」
「うん!!」
「泣かずに挑戦出来て偉かったな、悠真」

 そう、理仁の言う通り、取れなくても悠真は諦める事も泣く事もなく、一生懸命景品を取る事に向き合った。いつもなら思い通りにならないと泣いていた悠真が。

 まだまだ子供だと思っていた真彩だけど、日々成長している事を改めて実感すると、嬉しくもあり淋しくもあるようで少し複雑な感情を抱きつつあった。

「あ、しょう! みてー! ゆうまがとった!」

 悠真はというと、クマのぬいぐるみを大切そうに抱きしめながら、買い物を終えて戻って来た翔太郎にも自分が取った事を自慢していた。

「これを悠真が? 凄いな」
「えへへ! かえったらさくにもみせる!」
「そうだな、朔太郎も驚くぞ」
「うん!」
「翔、買い出しご苦労だったな」
「いえ。それよりも、少し気になる事がありまして」
「何だ?」
「ここでは……」

 どうやらあまり周りには聞かれたくない内容の話らしく、真彩や悠真にもチラリと視線を移す翔太郎。それを感じ取った真彩は、

「あ、お話があるようでしたら、そこのプレイルームで悠真を遊ばせます。あの中に居れば私も悠真も安全でしょうから、お話済ませて来て下さい」

 ゲームセンター横にあるプレイルームを指差しながら言った。
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