愛し愛され愛を知る。【完】
「理仁さん、今日も遅いのかな?」

 八旗組が大きく動き出した頃、連日のように帰りが遅くなっていた理仁を心配した真彩は、悠真と一緒に遊んでいた朔太郎に問い掛けた。

「そうっスね……最近色々と忙しいみたいなんで、暫くは続くみたいっス」
「そうなんだ。大変なんだね」

 組織絡みの事なので朔太郎も詳しく説明する事が出来ず、かなり濁しつつ答えるものの、事態はあまり芳しく無いようだった。

その日の深夜、

「あ、理仁さん、お帰りなさい」
「何だ、まだ起きてたのか?」
「悠真が怖い夢を見たらしくて、起こされちゃって……」
「そうか。それは大変だったな」
「いえ。それより、理仁さんこそこんな時間まで……」
「問題ない。こんな事はよくある事だ」
「お食事はきちんとされていますか?」
「まぁ、軽くだがな」
「もし今お腹が空いているようでしたら、雑炊でも作りましょうか?」
「いや、大丈夫だ。それよりもまだ起きるまで時間があるんだから少し寝ておくといい」
「そうしたいんですけど、何だか目が冴えてしまって……」

 時刻は午前三時と少し経った頃、中途半端に目覚めて悠真を寝かしつけていた真彩は目が冴えてしまったようで眠れそうにないと言う。
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