愛し愛され愛を知る。【完】
「……朔太郎くんから聞いたんですけど、お仕事がお忙しいの、暫く続くんですよね?」
「ああ、そうだな。暫くは続くと思う」
「……あの、もしかして、惇也のいる、八旗組関連でしょうか?」

 誰に聞いた訳では無いけれど、真彩はうすうす気付いていたようで回りくどい言い回しをせずに理仁に問うと、隠しておく事でもないと判断したのか真彩の問い掛けに答え始めた。

「ああ、そうだ。あの男、檜垣は先日八旗組の若頭になった。実を言うとな、少し前に檜垣からお前宛に手紙も届いていた。悪いとは思ったが、危険が及ぶかもしれねぇから俺が確認の為に開けた。手紙には、この前話した事の確認と、改めてお前や真彩を引き取りたい旨が書いてあった。お前宛の筈なんだが、俺が読む事を見越している書き方だった」
「そう……だったんですね」
「俺としては、正直お前と檜垣を直接会わせる様な真似はしたくねぇが、真彩、お前自身はどうだ? もう一度会って話がしたいか?」
「……正直、会いたくない思いの方が強いです……けど、もう一度会って、きちんと話をするべきなのかも、とは思っています。私と悠真が彼の元へ行く気は一ミリもないと、はっきり伝える為にも……」

 あの日、惇也と再会した真彩は心の中で色々と思う事があった。惇也が悠真の父親である事は紛れもない事実で、この先も一緒になる事は無いと納得して貰わなければ、やはり鬼龍組に迷惑がかかるのではないかという事だ。
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