愛し愛され愛を知る。【完】
 家族のような存在だと言っても、本当の家族でもなければ鬼龍組の一員でもない真彩と悠真。

 理仁は優しいから傍に居ていいと言ってくれてそれに甘える形で傍に居るけれど、本当にそれでいいのか、優しさに甘えたままで良いのかと思い悩んでいた。

 そんな真彩がこの先も理仁の傍に居る方法と言えば、理仁と一緒になる事だけ。

 先程朔太郎にも問われた理仁をどう思うかという質問。あの時真彩は答えを濁していたものの、理仁への恋心は日に日に大きくなっていて、悠真の母親という状況がなければ想いを伝えているくらい確実に理仁への想いは育っていた。

 理仁は女に興味が無い、結婚をする気もないと聞いているけれど、人の心なんて変わりやすく、いつ心の底から愛せる女性が現れるかも分からない。

 そんな時、恋人でも何でもない自分が傍に居れば足枷にしかならない事、自分のせいで悩ませる事が嫌だと思う真彩。

 それならばいっそ、想いを伝えてしまおうかと考えはするも、拒絶されてしまえば傍に居るのが辛くなるのは目に見えている。

 だったらこのままの関係でいるのが一番いいのかもしれないと思い、想いを伝える事も出来なければ何も聞けずにいるのだった。
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