愛し愛され愛を知る。【完】
「…………?」
「姉さん、どうかしました?」

 車に乗り込むさなか、何やら視線を感じた真彩は振り返ってみるも誰の姿も無く、そんな彼女のしぐさに疑問を感じた朔太郎が声を掛けた。

「うん、何だか誰かに見られているような気がしたんだけど……朔太郎くんは何も感じなかった?」
「はい、すいません……」
「ううん、いいの。私の気のせいだと思う。ごめんね」
「いや、俺が気付いてなかっただけかも。気を引き締めます! とりあえず急いで向かいましょう」
「うん、お願いします」

 気のせいだと思うものの、何だか腑に落ちない真彩。

 けれど、一緒に居た朔太郎は何も感じなかった事もあって、あまり気にするのは止めようと言い聞かせながら窓の外を眺めていた。


「ママー! さくー!」

 ショッピングモールに着いた真彩たちはゲームセンター内に居た理仁や悠真と合流すると、好きな事をさせて貰えてご機嫌な悠真が笑顔で二人に抱きついた。

「無事に終わったようだな。翔から簡単に話を聞いた」
「はい。何だか、ちょっと拍子抜けしちゃいました」
「まぁ、俺も少しそれが気掛かりなんだ。檜垣がそんなに呆気なく引き下がる事がな……」
「でも、きちんと一筆書いてもらいましたし、きっと、大丈夫だと思うんです」
「……そうだな、アイツもお前の気持ちを聞いて思い直したのかもしれねぇからな」
「はい」

 そう理仁と会話を交わす真彩だったけれど、またしても何処からか視線を感じて後ろを振り向いた。
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