愛し愛され愛を知る。【完】
「姉さん! 理仁さん!」

 撃った男はパトカーのサイレンを聞くや否やその場から立ち去ってしまう。追いかけたい思いはあった朔太郎だが悠真が居る以上危険な事は出来ず、倒れ込んだ理仁と真彩の元へ駆け寄った。

「真彩、大丈夫か?」
「は、はい……何とか……」

 真彩を守るように覆い被さっていた理仁が起き上がり、突然の事で状況把握し切れていない真彩も理仁の声で我に返って身体を起こした。

「二人とも、大丈夫ですか!?」
「ママ!」

 血相を変えた朔太郎と不安そうな表情を浮かべた悠真。

「朔、急いで車に戻るぞ」
「は、はい!」
「あの、警察が来てるみたいですけど……」
「ここは俺たちに任せてください!」
「え?」

 突然複数の見知らぬ男たちが近付いてくると、後は自分たちに任せろと言う。

「コイツらは鬼龍や柳瀬の傘下の奴らだ。予め助っ人を頼んでおいた。ここは任せて、俺らは逃げるぞ」
「姉さん、早く」
「あ、う、うん……」

 何が何だか分からないまま理仁や朔太郎に急かされた真彩は悠真を抱いて車へ戻った。
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