愛し愛され愛を知る。【完】
「出血量は多いけど、撃たれた所は急所を外れていたから命に別状は無いよ。ただ、暫くは安静にしてるように。傷口が開くと出血するし、流石にこれ以上流すと危険も高まるからね」
「はい、分かりました。ありがとうございます!」

 着いた先は町外れにある小さな病院で、お世辞にも綺麗とは程遠い外観だった。

 中に入ると真彩と同じくらいの年齢の小柄で細身の無愛想な看護師の女性が一人と、理仁よりも少し上の年齢で銀髪の長髪で眼鏡を掛けて白衣を着た物腰の柔らかそうな男性が居るだけ。

 朔太郎も真彩も大丈夫なのかと不安げに思うも理仁の知り合いで腕の良い医者というので任せる事になったのだが、緊急の手術をすると言われた時は不安も最高潮に達していた。

 しかし、手術はすぐに終わり、出血量の割には撃たれた場所が致命傷とならない場所だった事もあって命にも何ら問題のないという事だったので二人は心の底から安堵した。

「姉さん、俺、兄貴に連絡して来るんで、理仁さんの事よろしくお願いします」
「うん、分かった」

 朔太郎は翔太郎に連絡をすべく病院の外へと出て行き、悠真は別室で寝かせてもらっている事もあって、病室には真彩と眠っている理仁の二人きり。

 命に別状がないと言われた時、真彩は本当に良かったという思いと同時に、祈り続けていた神に心から感謝をした。
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