愛し愛され愛を知る。【完】
「優しいだろ? わざわざ選ばせてやるんだから」
「…………っ」
「真彩、悩む事はねぇ。俺を殺せばいい。そもそもこれは俺が招いた事だ」
「何言ってるんですか!? そんなの、出来るわけないです……」

 こんな重大な事をすぐに決められる訳はないのだけど、なかなか決まらない事に惇也はだんだん苛立ちを覚えていき、

「お前らさぁ自分の置かれてる立場分かってんのかよ? 決められねぇって言うなら、俺がこの場で二人共殺すぞ!? 残されるのが嫌なら片方殺してからすぐに殺してやるよ。それが一番良いだろ!」

 銃を取り出した惇也は銃口を真彩に突き付けた。

「真彩!」
「動くなよ!? 少しでも動けばすぐに引き金を引く」
「……っくそ……」
「どうだ、真彩。もう一度だけ聞く。このまま俺に殺されるか? それとも、お前がアイツを殺すか?」

 銃を突き付けられている真彩は恐怖から身体が震えていた。殺されるのは怖い。けれど、自らの手で理仁を殺す事も出来ない。どうすればいいのか決めかねていると、理仁と視線がぶつかり合う。

 声は発していないのだが、真彩には理仁が言いたい事が分かった気がした。

「…………私、死ぬのは……嫌……」

 そして、理仁の考えが何となく読めた真彩は震える声で惇也にそう伝えたのだ。
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