愛し愛され愛を知る。【完】
「――そうか、やっぱりな」

 真彩が部屋へと戻ってから数十分後、悠真の部屋に翔太郎がやって来たので、先程真彩から聞いた話を兄である彼に話した朔太郎。

「え? 兄貴知ってたの?」
「いや、そもそも気付いたのは俺じゃない」
「え? あ、もしかして、理仁さんは既に気付いてた?」
「そうだ。それで真彩さんの事を気を付けて見て欲しいと言われていたんだ」
「そうだったんだ。けど、どうして姉さんはあんな浮かない顔してたのかな?」
「うーん、そうだな。まあ妊娠というのは女性にとって特に重要な事なんだろうし、不安になる事もあるんじゃないか?」
「まあ、それもそうか。嬉しいだけじゃないよな、きっと」
「ああ。その辺は俺たちには分からないんだ。今はとにかく真彩さんが無理しないように俺たちで見守るしかないさ」
「だな!」

 翔太郎と朔太郎は忙しくてあまり家に居られない理仁の代わりに真彩のサポートをしていこうと誓い、熱で苦しむ悠真の看病を続けていた。
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