愛し愛され愛を知る。【完】
番外編―1―
 悠真の風邪も落ち着き、学校へ行けるようになったタイミングでようやく真彩は病院で検査を受け、妊娠二ヶ月目に入っている事が分かった。

「姉さん、改めておめでとうっス!」
「ありがとう、朔太郎くん」

 病院の送迎を担当していた朔太郎は車に戻ってきた真彩から結果を聞いて自分の事のように喜んでいる。

 喜ばしい事なのに、相変わらずどこか浮かない表情の真彩をずっと気にしていた彼は、

「姉さん……聞いてもいいっスか?」
「え? 何?」
「……俺の勘違いならそれでいいんスけど……もしかして、子供が出来た事、あんまり嬉しくない……とか?」

 真彩に限ってそんなはずはないと思いつつも、やはりどうしても理由が気になっていた朔太郎は聞かずにはいられなくて問い掛けると、

「ううん、勿論嬉しいよ。だって、大好きな理仁さんとの子供だもの」

 嬉しくないという事はハッキリ否定するけれど、

「……でもね、不安な事があるの」

 それとは別に何か悩みがあるようで、それを話すかどうか真彩は躊躇っている。

「……あの、俺で良ければ話してください! 役に立てるかどうかは分からないけど……一人で抱え込んでても身体に障りますし、言って楽になる事も、あると思うんスよね!」

 そんな彼女の不安を少しでも取り除けないかと考えた朔太郎は、自分で良ければ相談して欲しい事を告げると、

「……そう、だよね……。それじゃあ、話、聞いてもらってもいいかな?」

 少し考えた後、真彩は朔太郎に今思っている胸の内を相談する事を決めた。
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