愛し愛され愛を知る。【完】
番外編―3―
「俺と朔太郎は四つ歳が離れているから、朔太郎が生まれた時、俺は今の悠真よりも幼かった。初めは弟が出来て嬉しかったんだが、日を追う事に朔太郎を疎ましく思う事もあったんだ」

 翔太郎は悠真の横に腰を下ろし、言葉を選びながら自分が当時感じていた事を話していく。

「父さんや母さんが朔太郎にかかり切りになっていった時、何で自分だけがこんなに寂しい思いをしなければならないのかと悲しみが怒りに変わった事もあった。弟は欲しかったけど、こんな思いをするなら弟なんていらない、そう思ってだんだん朔太郎を構わなくなった。その頃の俺はいつも一人で孤独だった」

 そして、その話を少し離れた場所から聞いていた朔太郎は一人複雑な表情を浮かべていた。

 悠真を諭す為とは言え、初めて聞く話だったから。

「やっぱり、一人になっちゃう……?」

 翔太郎の話を聞いていた悠真は余計に不安になってしまったようで逆効果なのではと思う朔太郎だったのだけど、話にはまだ続きがあった。
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