愛し愛され愛を知る。【完】
番外編―4―
 それからというもの穏やかな時間が過ぎていき、妊娠七ヶ月を迎えたある日の事。

 鬼龍組を取り巻く環境が大きく変化を見せていた。

 基本組織の内部事情は真彩に知らされる事は無いのだけど、ここ最近の理仁たちのやり取りを間近で見ていれば何かが起きている事は明白で、不安があった。

 そんな真彩の不安を察していた理仁だけど、お腹の子供や真彩の心身に負担を掛けまいと詳しい事は伝えず、極力時間を作っては傍に居て安心させるように努めていた。

 しかし、それすら難しい状況が理仁に降りかかる。

 以前から敵対関係だった箕輪組や砂山組とは和解して協力関係になり、元から協力関係にあった柳瀬組を入れた東区域を仕切る四組織は今現在、ある組織の対応に頭を悩ませていた。

 以前西区域を仕切っていたとある組織の元組員が数名集まり、東区域で色々と悪行を重ねつつあった穂積会(ほずみかい)という組織を束ね、上位組織へ成り上がろうとしているのだ。

 その為鬼龍組を初め、柳瀬、砂山、箕輪組は穂積会に狙われる事になった。

 元から四組織に不満を持っていた人間も一定多数いる事から、穂積会は日に日に勢力を増していき、その分危険が増えていく。

 それに伴い、鬼龍組でも真彩や悠真に危険が及ばないよう対策が施される事になった。
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