愛し愛され愛を知る。【完】
「悠真、悪いが暫くの間、学校は休んでくれ」

 楽しみにしていた遠足を数日後に控えていた悠真にその話をした理仁は、物凄く申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「え? なんで?」

 勿論、組織の事を理解出来るはずはなく、突然学校を休めと言われて納得出来る訳も無い。

 そこで助け舟を出したのは他でも無い真彩だった。

「あのね、実は、これから暫くパパや他の皆はお仕事が忙しくなるの。いつもは皆がママに付いててくれてるけど、それが無理になっちゃうの。でも、ママ最近ちょっと体調が良くなくて、出来れば悠真に傍に居てもらいたいなって……思ってるの。駄目かな?」

 真彩も詳しく事情を聞いた訳じゃないけれど、悠真に学校を休めというのは余程の危険が迫っているという事で、それを理解しているからこそ、何とかして悠真に家に居てもらおうと考えた。

 真彩の話を聞いた悠真は、

「そっか、それじゃあ、ゆうまがママのそばにいるね! がっこう行けないのさみしいけど、ママと赤ちゃんのためにがまんする!」

 大切なママを守りたいという思いから、学校を休む事を納得したのだった。
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