愛し愛され愛を知る。【完】
「仕方ないよね、これしかないんだから」
彼女自身夜の仕事には多少偏見や抵抗もあるし、おまけに酒も接客も苦手なのだが選べる立場ではないので、迷いがあるものの『いつでも連絡して』と言っていたスカウトマンの言葉を思い返した真彩は電話をかけようと人混みから離れて脇道へ向かう。
「うーん、でもなぁ……」
けれど、スマホを手に名刺に書いてあった番号を押しては迷い、なかなか決心がつかない真彩。
「今日一日探してみて、見つからなかったら電話しよう……」
もう少しだけ仕事を探してみて、それでも見つからないようなら電話をしようとスマホをポケットにしまい歩き始めた、その時、
「あっ!」
スマホを片手に向かいからやって来た人とぶつかり、バランスを崩した真彩は手にしていた名刺を落としてしまった。
「悪い、大丈夫か?」
「あ、はい。こちらこそ、よそ見していたもので……」
ぶつかったのは三十代くらいの男で、長身細身で程よい筋肉質の男らしい身体付きをしている。話した感じは物腰が柔らかく優しそうな人……ではあるものの、真彩が顔を上げて今一度相手をよく見ると、金髪にサングラスを掛けて左右の耳にはいくつものピアスをつけた見た目に驚き、一瞬固まってしまう。
「ほら」
「ひ……拾ってくれて、ありがとうございます……」
落とした名刺を拾って手渡してもらったのでお礼を口にしながら受け取ると、男の右手の甲に龍の刺青があるのを見つけた真彩は思わず息を飲んだ。
(この人、ヤバい人だ……早く、この場から立ち去ろう)
見た目で判断するのは良くないけれど、明らかに堅気の人間では無く、どこかヤクザっぽい雰囲気を醸し出している彼に若干の恐怖を感じてしまった真彩は、あまり関わり合いになりたくないと思い軽く会釈をして早々に立ち去ろうとするも、
「おい」
何故か男とすれ違いざまに腕を掴まれ突如行く手を阻まれてしまう。
彼女自身夜の仕事には多少偏見や抵抗もあるし、おまけに酒も接客も苦手なのだが選べる立場ではないので、迷いがあるものの『いつでも連絡して』と言っていたスカウトマンの言葉を思い返した真彩は電話をかけようと人混みから離れて脇道へ向かう。
「うーん、でもなぁ……」
けれど、スマホを手に名刺に書いてあった番号を押しては迷い、なかなか決心がつかない真彩。
「今日一日探してみて、見つからなかったら電話しよう……」
もう少しだけ仕事を探してみて、それでも見つからないようなら電話をしようとスマホをポケットにしまい歩き始めた、その時、
「あっ!」
スマホを片手に向かいからやって来た人とぶつかり、バランスを崩した真彩は手にしていた名刺を落としてしまった。
「悪い、大丈夫か?」
「あ、はい。こちらこそ、よそ見していたもので……」
ぶつかったのは三十代くらいの男で、長身細身で程よい筋肉質の男らしい身体付きをしている。話した感じは物腰が柔らかく優しそうな人……ではあるものの、真彩が顔を上げて今一度相手をよく見ると、金髪にサングラスを掛けて左右の耳にはいくつものピアスをつけた見た目に驚き、一瞬固まってしまう。
「ほら」
「ひ……拾ってくれて、ありがとうございます……」
落とした名刺を拾って手渡してもらったのでお礼を口にしながら受け取ると、男の右手の甲に龍の刺青があるのを見つけた真彩は思わず息を飲んだ。
(この人、ヤバい人だ……早く、この場から立ち去ろう)
見た目で判断するのは良くないけれど、明らかに堅気の人間では無く、どこかヤクザっぽい雰囲気を醸し出している彼に若干の恐怖を感じてしまった真彩は、あまり関わり合いになりたくないと思い軽く会釈をして早々に立ち去ろうとするも、
「おい」
何故か男とすれ違いざまに腕を掴まれ突如行く手を阻まれてしまう。