愛し愛され愛を知る。【完】
 理真が生まれてから数カ月が過ぎて、再び日常を取り戻していた鬼龍家。

 悠真は理真を溺愛するあまり、彼女が泣くと何で泣いているかがすぐに分かるようになっていた。

「ママー! りまがおなかすいたって!」
「はーい、今行くね」

 平日は理真を気にしながらなのでなかなか家事が進まない事も多いけれど、休日は悠真が常に見ていてくれるおかげで家事もスムーズに進んでいた。

 皆の愛情を受けている理真はすくすくと育ち、検診でも何ら問題は無かった。

 だけど、真彩は悠真の事が少し気掛かりだった。

 悠真はお兄ちゃんとしての自覚があるようで、したい事も行きたい所も常に我慢しているみたいなのだけど、朔太郎にだけは本音を打ち明けていた。

 勿論、話す際は「ママとパパにはないしょだよ!」と口止めしているようなのだが、朔太郎は常に報告していた。

 そんな悠真の為にも久しぶりに何処かへ出掛けようと、理真に負担が掛からないよう、近場だけど楽しめる場所を探した理仁と真彩。

 悩みに悩んだ結果――

「悠真、今週末は皆で旅行に行くぞ」

 とある場所へ皆で泊まりに行く事になった。
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