愛し愛され愛を知る。【完】
「え……? で、でも……」

 確かに仕事は探しているが、果たして今しがた会ったばかりの彼を信じていいものか悩む真彩。そんな彼女が何に悩んでいるか気付いた男は、

「給料は……そうだな、月に百万でどうだ?」
「百万!?」

 聞いたら誰もが驚くべき金額を提示して真彩を驚かせた。

「ああ。しかも住み込みだ。悪い話じゃないだろ?」

 住み込みで月に百万という普通なら有り得ない話に怪しみつつも、好条件の話に心が揺らぐ真彩。

(どうしよう……百万なんて金額……どこを探しても無いよ。でも、そんなに高額なんて明らかに怪しいよね? そもそも本当にこの人を信用していいの? っていうか、この人何者? 経営者なの? 風俗どころか、もっと危ない所に連れて行かれたり……身売りされたりするかも……)

 彼女が葛藤するのは当たり前だ。世の中こんな甘い話には大抵何か裏があるものだから。

 しかし、金髪男はそれも全て想定内のようで、

「俺は鬼龍(きりゅう) 理仁(りひと)。言っておくが、お前が思ってるような怪しい奴とは違うし紹介する仕事は怪しいものじゃねぇ。とは言っても完全に不安を取り除ける訳もねぇか。まあ、少なくとも風俗に売ったり、危険な事をさせる訳じゃねぇから安心しろ」

 名を名乗り、真彩が不安に思っている事を言い当てたのだ。
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