愛し愛され愛を知る。【完】
「真彩、これをやるから今週末にでも朔たち連れて行って来い」

 夜、帰宅した理仁は夕食を終えて朔太郎たちと居間で寛いでいた真彩にある物を見せながら言った。

「ここって、メルヘンランド……ですよね? このチケットどうしたんですか?」

 メルヘンランドというのは可愛い動物たちが出迎えてくれて、沢山のアトラクションもある森をイメージした人気の大型テーマパークだ。

「取り引き先で貰った。いつもならこういう物は他にやるが、今は悠真が居るからな。朔、翔、お前ら日曜日に悠真たちを連れて行ってやれ」
「了解ッス」
「めるへんらんど?」
「そうだぞ、悠真も知ってるだろ? クマとかウサギとかが出迎えてくれて、乗り物とかもあって、楽しい所だ」
「くまさん?」

 朔太郎の説明の中で【クマ】という単語が出て来ると、持っていたくまのぬいぐるみを掲げて喜ぶ悠真。

「ありがとうございます。悠真、遊園地は行った事ないので、きっと喜びます」

 これまで、動物園や水族館などは連れて行った事があるものの、遊園地には一度も連れて行ってあげられていなかった真彩もまた、悠真同様喜びの表情を見せた。

「兄貴、すみませんが俺、日曜日は用事が……」

 盛り上がる中、一人浮かない表情を浮かべているのは翔太郎。大した用事がなければ理仁の指示に必ず従うものの、日曜日はどうしても外せない用事があるらしい。

「そう言えばそう言ってたな……悪い。それじゃあ他の奴を付けるから気にしなくていいぞ」
「すみません、ありがとうございます」
「朔、お前とあともう一人誰がいい?」
「そうッスね……」

 翔太郎が行けない代わりに他の組員を同行させる事になり、誰がいいか問われた朔太郎は少し考え、

「あ、せっかくだし、理仁さんが一緒に行けばいいじゃないっスか! 姉さんも悠真も、慣れない組員と一緒より理仁さんの方が楽しめますって!」

 名案とばかりに朔太郎は理仁を指名した。
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