愛し愛され愛を知る。【完】
「別に構わねぇよ。悠真は悪気があって言ってるんじゃねぇんだ。な、悠真」

 けれど呼ばれた理仁本人は全く気にしていないようで表情は変わらないどころか、少し緩んでいるようにも見受けられる。恐らく名前を呼ばれて満更でもなかったのだろう。

「仕方ねぇな、たまにはこういうとこで息抜きってのも悪くはねぇか。それじゃあ日曜日は混まないうちに早めに出掛けるぞ」
「了解っス!!」
「はい! 遊園地楽しみだね、悠真」
「うん!」

 こうして日曜日にメルヘンランドへ行く事になった四人。喜ぶ真彩と悠真を前にした理仁は満足そうな表情を浮かべていた。

 その夜、

「理仁さん、報告があります」
「例の事か?」
「はい」

 皆が寝静まった頃、理仁の部屋を訪れたのは朔太郎で何やら報告をしに来たと言う。それに心当たりのある理仁は朔太郎からその報告内容を聞くと、

「そうか、分かった。もしもう少し詳しく聞けるようなら聞いておいてくれ」
「分かりました……けど、どうして理仁さんが自分で聞かないんですか? 別に俺じゃなくても話してくれると思いますけど」
「いや、これはお前の方が適任だ。引き続き頼むぞ」
「……はい。それじゃあ失礼します」

 少し腑に落ちない表情の朔太郎は返事をするとそのまま部屋を後にした。
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