愛し愛され愛を知る。【完】
優しくされたら好きになりそう
 季節は冬本番、寒さが身に染みる季節となり、街に出れば大きなクリスマスツリーが飾られていたり繁華街は勿論、住宅街でもちらほらイルミネーションが施されている家が増えていた。

「ママ、ゆうまにサンタさんくる?」

 ひと仕事終えて休憩していた真彩の元へ、一冊の絵本を手にした悠真がやって来て『サンタが来るか』という事を尋ねた。

「サンタ? ああそっか、もうすぐクリスマスだもんね。そうだね、良い子にしてたら来ると思うよ」
「ほんと?」
「うん」
「わーい!」

 真彩に『来る』と言われた悠真は飛び跳ねて喜んでいる。

「悠真はサンタさんに何をお願いするの?」

 そろそろクリスマスという事をすっかり忘れていた真彩は早速悠真の欲しい物を聞き出そうとするも、

「ないしょ! ゆうま、サンタさんにおてがみする!」

 サンタには手紙を書くからと言って欲しい物を教えない悠真。

「そっかぁ……それじゃあママと一緒にお手紙書こうか?」

 それなら一緒に手紙を書くという名目で欲しい物を知ろうとした真彩だけど、

「いや! ゆうまひとりでやるの!」

 どうしても教えたくないらしく、一人でやると言って聞かない悠真は逃げるように部屋から出て行った。
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