愛し愛され愛を知る。【完】
「悠真、そろそろいいんじゃねぇか?」
「うん!」
「ちょっと、俺ら準備して来るんで」

 パーティー開始から一時間と少し経った頃、朔太郎に声を掛けられた悠真は真彩から離れ、何やら準備をするとリビングを出て行った。

「真彩、楽しめてるか?」
「はい」
「悪かったな、騙すような感じになっちまって」
「いえ! 寧ろこんな素敵な時間を過ごさせてもらって凄く感謝してます。悠真が考えてくれたって言っても、朔太郎くんや皆さんの協力が無かったら実現していない事ですから」
「いや、今日のこのパーティーは殆ど悠真と朔が考えたんだ。俺や他の奴らなんて大した事はしてねぇさ。この飾りなんて、毎日悠真と朔で作ってたみたいだしな」
「そうだったんですね」
「悠真は母親思いの良い子供だな」
「ありがとうございます。正直、私もびっくりしてるんです。あの子がこんな事を考えてくれるようになった事に」
子供(ガキ)の成長ってのは早いモンなんだな」
「そうですね。最近特にそう感じます。ここへ来るまでは悠真の事を構ってあげられる時間も少なかったから、成長を感じている余裕が無かっただけかもしれないですけどね」
「……そうか。ならこれからは悠真との時間を沢山作ってやればいい」
「はい。ありがとうございます」

 理仁と真彩が話をしていると、準備を終えた朔太郎と悠真が再びリビングに戻って来る。
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