愛し愛され愛を知る。【完】
「あ、理仁さん……その、朔太郎くんたちには休んでもらって残りの片付けをやろうと思っていまして……」
「いやいや、本当に俺らの事は気にしなくていいですから。姉さんが休んでください!」
「真彩、今日くらい朔たちに任せておけ。それと、この後少し良いか? 話がある」
「……分かりました。それじゃあ朔太郎くん、翔太郎くん、ありがとう。よろしくお願いします」
「二人共、後は頼むぞ」
「はいっス!」
「お休みなさい」

 結局理仁から話があると言われた真彩は片付けを朔太郎たちに任せる事になり、そのまま理仁に付いて部屋へ行く事になった。

「適当に座ってくれ」
「はい」

 理仁の部屋は10畳程の和室で、元から広さはあるものの、物が少ないせいか更に広く感じられる。そんな中、一際存在感があるのは二人掛けのローソファーと、沢山の書籍が入っている本棚だろうか。

 読書が趣味の理仁はローソファーで寛ぎながら本を読むのが一番の楽しみだったりする。

 真彩がソファーの左側に腰を下ろすと、本棚横にあるPC机の引き出しから何かを取り出した理仁は彼女の右側に腰を下ろした。

「理仁さん、今日は本当にありがとうございました」
「俺は礼を言われる様な事をした覚えはねぇが?」
「でも、パーティーの事とか……」
「パーティーの顔出しは仕事の一環みてぇなものだから気にする事はねぇし、家でのパーティーは悠真がサンタに頼んで実現した事だ。感謝する相手はサンタクロースなんじゃねぇのか?」
「…………そう、ですね」

 あくまでも理仁は自分が礼を言われる様な事はしていないと言いたい様で、それに気付いた真彩はそれ以上礼を口にする事を止めた。
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