愛し愛され愛を知る。【完】
「開けてるのにピアスを付けないだろ? 折角だし、たまには付けるといい」
「昔は付けていたんですけど、悠真を身ごもってからは付ける機会がなくて……悠真がまだ幼い頃一度だけ付けた事はあるんですけど、キラキラした物に興味があるのかすぐ耳に触ろうとするから、口に入れたりしても危険だし、それ以降は……」
「そうか」
「一応穴が塞がらないように、たまにシークレットピアスを付けたりはするんですけど、それくらいで」
「今は悠真を見る奴も沢山いる。たまには着飾っていいんだ」
「でも、こんな高価そうな物……」
「遠慮はいらない。いつも頑張ってる褒美だと思えばいい。前にも言ったが、お前はすぐに自分の事を後回しにするから、このくらいが丁度いい」
「……嬉しいです。本当に、嬉しい……」

 戸惑っていた真彩は、理仁の言葉で次第に笑顔になる。

「そうだ、そうやって笑顔でいればいい。その笑顔に救われる人間はいるんだから」
「……それは、理仁さんもですか?」
「ああ、そうだ。恐らく、組のモンは皆救われてる。お前と悠真にな」

 真彩は自分で質問をしたのに、迷いなく答えた理仁に心底驚いていた。
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