愛し愛され愛を知る。【完】
「話、というのは……?」
「ああ、そんなに畏まらなくていいよ。楽にしてくれて大丈夫だから。理仁から君や悠真についてある程度の話は聞いているけど、君は理仁を、鬼龍組をどこまで知っているのかなと思ってね」
「えっと……実を言うと、私が知っている事はあまりないです」
「……そうか。まぁ、理仁は自分の事を簡単に話す奴じゃないからな。鬼龍組についても同じか」

 壱哉は真彩の言葉に納得したように頷いている。

「本来、俺が話すような事じゃないのは分かってるんだけど、先代とは旧知の仲で鬼龍組は俺にとっても大切な存在だ。そんな鬼龍組に君はもう深く関わっているし、今後の事を考えると、知っていた方がいい事もあると思う」
「え……っと……」
「まぁ君は理仁本人が話さない事を他人から聞きたくはないのかもしれないけど、恐らく、理仁もどのタイミングで君に話すか決めかねているとは思うんだ。だから後で俺から聞いたと言ってもいい。少しだけ聞いてくれるかな?」
「……分かりました」

 壱哉の言葉に頷きはしたものの、本当に他人から詳しい話を聞いてもいいのか内心迷っていた。

 そんな真彩に気付きつつも壱哉は一呼吸置いた後、理仁や鬼龍組に関する内容を話し始めた。
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