愛し愛され愛を知る。【完】
「いたい……」
「あー、ちょっと傷になってるね……」

 女の子は悠真と同じくらいの歳で、転んで膝を少し擦りむいてしまったようだ。

「ママ……?」

 砂場で待っていた悠真は遠慮がちに近寄ると、女の子の膝を見るなり彼女に駆け寄り、頭を撫でて『だいじょうぶ』と励ましていた。

「血は出てないから、あそこの水道で洗って絆創膏貼ろうか。立てる?」
「うん……」

 辺りを見回す限り女の子の親らしき人が見当たらない事もあり、真彩はすぐ側の水道まで一緒に行って傷を洗い流すと、持っていた絆創膏を貼ってあげる。

「一人? お父さんかお母さんは、どうしたのかな?」
「さくまときたの」
「そうなんだ? その、さくま……くん? はどうしたのかな?」
「しらない……いまいない」
「そっか。それじゃあ来るまで一緒に遊んで待ってようか」
「うん!」

 一緒に来た『さくま』という人は用があるのか今は居ないようなので、真彩が戻ってくるまで悠真と三人で待つ事を提案すると女の子は笑みを浮かべて喜んだ。

「あれ? この子、どうしたんスか?」

 暫くして、電話を終えた朔太郎が戻って来ると見知らぬ女児を見て不思議そうな顔をする。
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