愛し愛され愛を知る。【完】
「ママー! きょうはりなちゃんにあえたよ!」
「本当に? 良かったねぇ」

 ショッピングモールで莉奈と会ってから数日後、幼稚園から帰宅した悠真は開口一番、真彩に莉奈に会った事を報告をした。

「姉さん、ちょっといいっスか?」
「どうかしたの、朔太郎くん」
「ここじゃあちょっと……」
「あ、金井さん、ちょっと悠真の事お願い出来ますか? 冷蔵庫にプリンが入っているので、良かったら金井さんも悠真と食べて下さい」
「はい。分かりました。ありがとうございます」

 ご機嫌な悠真とは対照的にどこか浮かない、というより何か深刻な問題があるのか険しい表情の朔太郎に呼ばれた真彩は、通りがかった真琴に悠真を託して部屋を出た。

「その辺に座ってください」
「うん」

 そして朔太郎の部屋へやって来た真彩が促されて座る。

「姉さん、莉奈って子と一緒に居た『作馬』って男、知り合いじゃないんスよね?」
「え? 作馬くん? うん、知らない子だけど」
「そうっスよね……」

 唐突にそんな質問をした朔太郎は真彩の答えを聞くとすぐに考え込む仕草を見せてそのまま黙り込んでしまう。

「その作馬くんがどうかしたの?」
「いや、実は今日――」

 何故朔太郎がそんな質問をしたのかを真彩が問うと、朔太郎は幼稚園を出てから帰宅するまでに起こった出来事を話し始めた。
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