愛し愛され愛を知る。【完】
 朔太郎の話によると、公園で莉奈に会った悠真が少し遊びたいと言ったので自身はベンチに座ってその様子を眺めていたらしい。

 すると、途中から作馬がやって来ると莉奈に近付いて一緒に遊ぶフリをしながら悠真と話をしていたのを怪しんだ朔太郎が近付くや否や、まだ遊びたがる莉奈を連れて逃げるように去って行ったというのだ。

 何を話していたのか悠真に聞いたところ、母親の名前や住んでいる所などを聞かれたようなので、真彩の知り合いなのかを確かめたかったようだ。

「そんな事が……悠真には可哀想だけど、莉奈ちゃんとは会わせない方がいいのかも……」
「そうっスね。相手の意図が分からない以上、近付くのは危険っス。この事は理仁さんにも報告しますね」
「うん」

 話を聞いた真彩は作馬が子供と言えど、知らない所で色々探られている事をあまりいい気はせず、悠真と莉奈をあまり会わせない方が良いように感じてしまう。

 その夜、朔太郎からその話を聞いた理仁は部屋にある様々な資料を見返していた。

「…………あの子供たちは、八旗(やはた)組の関係者だったか……という事は、アイツも……」

 そして、どうやらある資料に作馬や莉奈の情報が載っていたようで、何時になく焦りの色を浮かべていた。
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