蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 熱心に誘ってくれる彼を見つめながら、わたしは首をかしげた。

「どうしてそこまで言ってくれるの?」
「うーん。一人にするのが心配だから、かな」
「一人にするのが心配って……えっ? わたし、自殺でもしそうな顔してる?」
「そんなことないですよ。でも一人になったら衝動にかられるかも知れないでしょう。ね、お願いだから俺の言うことを聞いてください」

 お願いまでされてしまった。
 これ以上、押し問答を続けること自体が迷惑か。
 結局、わたしは彼の好意に甘えることにして、「わかった。じゃあ、お願いします」と頭を下げた。

 彼は顔をほころばせて、頷いた。
「家、大崎なんでちょっと遠いけど。この時間なら渋滞もないし、時間そんなにかからないと思いますよ。車、あっちに停めてるんで」
 彼はわたしのキャリーバッグを手にすると、駐車場を目指して歩きだした。

***
 
それから20分ほどで、目的地に到着した。
「ここです」
浅野くんは、(そびえ)え立つ高層マンションの駐車場に車を進めた。
 
 え、ここってもしかして、最近できたばかりの話題のタワマンじゃない。
 まさか、自分でここ、借りてるんじゃないよね!?

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