蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 「驚いたよ。すごいところに住んでるんだね」
 「親名義です。節税対策とかで。俺としては早く親がかりから卒業したいんだけど」

 やっぱり。でも節税で都心の新築タワマンって。
 どれほどの金持ちなんだろう。

 地下駐車場から直接、エレベーターで彼の部屋のある23階まで上がった。
 内廊下を進んで一番奥の部屋の前で、彼は足を止めた。
 
 ドアを開け先に上がり「どうぞ、上がってください」とスリッパを出してくれた。

 廊下にドアが3か所ある。
 間取りは2LDKか3LDK、ワンルームでないことは確か。

 そして、突き当りのドアを開けると、ドラマの主人公が住んでいるような、広くておしゃれなリビングが眼前に現れた。
 男の一人暮らしとは思えないほどスッキリ片付いている。

 「きれいに暮らしてるんだね」
 「ほとんど寝に帰るようなもんだから」

 白い壁の前には紺地のカウチソファーが置かれ、その上にはフレームに入ったモノクロの夜景写真が飾られている。
 工場なのだろうか。まるでSF映画に出てくるような近未来的な建物が映っている。

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