蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 「そうかな。俺は別に問題ないと思うけど。前から誰かとシェアしたいなって思ってたんですよ。一人で住むには広すぎるんですよね、ここ。それに帰ってきたとき、お帰りって言ってくれる人がいたらといいかなと思って」

 極度の寂しがりやなのかな、浅野くんって。

 彼の真意を測りかねて、わたしはじっと見つめる。
 「それはまあわかるけど、なんでわたし?」

 浅野くんはしれっと言う。
 「だって利害が一致してるでしょう」

 「それはそうだけど。他に一緒に住む人いないの? 彼女は?」
 「彼女、いないんで」

 「まさか!」
 わたしは思わず叫んだ。

 ありえない。
 会社一のモテ男に彼女がいないなんて。

 「信じられない。浅野くん、モテモテなのに」
 「モテてなんていないですよ」
 「何、言ってんの。わたしの回りに星の数ほどいるよ。浅野推しの子」

 「でも仮に100万人に好かれてるとしても」
 そこで彼は言葉を切った。
 「好きな人に振り向いてもらえなかったら意味ないでしょう」

 「なんだ。やっぱり好きな人はいるんだ。じゃあ、だめじゃない。わたしとルームシェアなんてしたら」

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