蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
「いえ、問題なしです。はじめから叶わないって思ってた人なんで」

「あ」とわたしは小声で言った。
「訳ありってこと? 人妻とか?」
「いや、人妻ではないけど。まあ、そんなとこです。俺のことなんて、まるで眼中にない人なんで」
「こんなイケメンに好かれているのに? 世の中にそんな人、いるんだ」

 彼はふっと笑みを浮かべる。
「ええ、いますよ、普通に」

 わたしは少し考えた。
 
 たしかに……家が見つかるまでここにおいてもらえたら、本当に助かる。
 でも、もし、会社の女子たちにばれたら……全員を敵に回すことになりそうだし。
 
「同居の返事、今すぐじゃなくてもいい?」
「もちろんです。まあ、でも新しい部屋見つかるまではいてください。昨晩でわかったでしょう。俺が危険な男じゃないって」

 浅野くんはそう言って、唇の端を少し持ちあげた。

「うん。じゃあお願いします。助かる。お金が浮いた分、今度、豪勢なディナーをご馳走するからね」
「はい。期待して待ってます」

 浅野くんはちょっと忘れられないほど眩しい笑顔をわたしに向けた。 
 
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