蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 「ううん、正美に忠告されてもそのときのわたしは否定したと思うよ。でも、もう無理」
 「じゃあ、もう別れる決心してるんだ」
 「うん」
 「ま、そのほうがいいと思うよ。で、土日はどこに泊まったの? ホテル?」

 あー、そりゃ聞かれるよね。
 どうしよう。

 「何、その顔? なんかあるの? 教えてよ」
 好奇心に目を輝かせてる正美の圧に負けて、わたしは簡単にあの夜のことを話した。

 「実はね……家を飛び出したあと、偶然、浅野くんに会って……」
 わたしが彼の家に泊めてもらっていることを白状すると正美は「えーっ」と大音量で叫んだ。

 「ちょ、ちょっと正美」
 「いや、だって、驚くよ、そりゃ」
 「だけど、みんなにそんなことバレたら、わたし、殺されかねないでしょう」

 わたしの言葉に彼女は大きく頷いた。

 「たしかに。でも良かったじゃん、浅野氏に会えて。じゃなかったら、茉衣、野垂れ死にしてたかも」
 
「さすがに野垂れ死にはしないよ。でもほんと、彼が神様に見えたよ、あのとき」
 「感謝しなきゃね」
 「うん、とりあえず、食事、ごちそうする約束はしてる」

 正美はにやけた顔をこっちに向けてきた。

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