蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 「何? なんでそんなににやけてんの?」
 「いや、浅野氏、ずいぶん親切だなと思って。そのままお付き合いもありじゃない? うん、あの子なら問題ないよ。顔だけじゃなくて性格マジいいし」

 「やめてよ。彼、3歳も年下だよ」
 「よけいにいいじゃん、年下彼氏」
 「もう、振られたばっかの女にそんなこと言う? 普通」
 「恋に傷ついたときは新たな恋で癒す。これ常識でしょ」

 ったく、ああ言えばこう言うんだから。
 いやいや、無理だって。
 あんな異次元イケメンを彼氏にしようなんて、一瞬思っただけでもバチが当たる。

 「あっちが願い下げでしょう。30歳目前のアラサーなんて」
 「そんなこと、ないと思うけどな。茉衣に憧れてるやつ、結構いるよ、実際」と変わらぬにやけ顔でうんうんと頷いている。

 「浅野氏を堕として、宣人を見返してやりなよ。あんたに失恋したぐらい、なんでもないんだからって」

 もう、正美。他人事だと思って、好き勝手言って。

 「冗談はさておき」とわたしはむりやり話題を変えた。
 「いや、かなり本気なんだけど」
 「混ぜっ返さないで。あのさ。今日、時間ある?」
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