蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 わたしはなんで彼と付き合ってきたんだろう。

 宣人ははじめての彼だった。
 告白されたときは天にも昇る心地だった。
 でも、付き合いが深まるにつれて、負の面が見えだした。
 思いやりに欠ける言動とか身勝手なセックスとか……

 それでも別れなかったのは、部内で一番仕事ができる男が彼氏だという優越感や、結婚するまでつかまえておきたいという打算があった気がする。

 そんなわたしの愚かさも、今回のようなことを招いた一因かもしれない。
 
 浅野くん、早く帰ってこないかな。
 無性に彼と話がしたかった。
 
 彼の優しさにつけこんで甘えていることは自覚していたけれど、今日だけは許してほしかった。
 それぐらい、心がぺしゃんこにひしゃげていた。
 
 わたしはソファーに座り、見るともなしにニュース番組をつけた。
 しばらくして急激に睡魔に襲われ、そのまま眠りこけてしまった。


 
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