蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 (一樹サイド)

 週明けだというのに、取引先の社長がなかなか離してくれず、家に帰りついたのは午前1時すぎだった。
 ドアを開けると、テレビの音がしていた。

 梶原さん、起きてたのか。

 リビングに向かうと彼女はカウチソファーの上で丸まって眠っていた。

 こんなところで寝たら、風邪ひくのに。
 その寝姿がまるで幼子のようにたよりなくて、俺は思わず彼女の髪を撫でていた。

 「うん……」とかすかな声を上げ、彼女はゆっくり目を開けた。
 まだ夢のなかにいるような顔で俺を見ている。

 「あ、おかえり」
 「こんなところで寝たら、風邪ひきますよ。先に寝ていてよかったのに」
 「でも……浅野くん、「おかえり」って言ってもらいたいって」
 「それで……待っていてくれたんですか?」

 俺が適当に言ったことを真に受けて……本当に、この人は。

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