蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 まずい。

 抱きしめてしまいたくなるほど、彼女を愛しく思う気持ちがこみあげてくる。

 そう、俺はずっとこの人に恋してきた。
 配属された日、微笑みかけてくれた、あのときから。

 仕事に慣れず戸惑う俺を、一番親身になって助けてくれたのは彼女だった。

 美しい人なのにそれをまったく鼻にかけず、異性からも同性からも信頼されている彼女に、俺はどんどん惹かれていった。

 伊川さんと付き合っていると知ったときはショックで眠れなかった。
 それでも諦められなかった。

 あの夜、橋の上で彼女を家に誘ったとき、誓って下心はなかった。

 冷え切って震えている彼女を一刻も早く温かい場所に連れていってあげたい。
 本当にそのことしか頭になかった。

 とはいえ、こうして身近に接したら、想いは嫌でも募る。

 ゲームで自分の気持ちをごまかすのも、そろそろ限界。すっかり生殺し状態だ。

 手ひどい失恋を経験したばかりの彼女に身勝手に気持ちをぶつけたりしたら、さらに悩ませてしまうことになる。
 そう思って、必死で自分を抑えている。でも……

「こんな無防備で可愛い寝姿なんて見せられたら、いつまで耐えられるか、自信ないよ」

 心の中で、そうひとりごちた。

 
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