蕩ける愛であなたを覆いつくしたい ~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されています~
 ***

 ようやく金曜日になった。
 気が遠くなるほど長かった1週間が終わる。

 会社にいる間はとにかく仕事に没頭して、余計なことに惑わされないように心がけた。

 宣人や留奈とは冷戦状態を保っている。
 居心地が悪いのはたしかだけれど、非があるのは向こうだ。
 わたしが卑屈になる必要はまったくないと、必死で踏ん張っていた。

 そして、いまだに浅野くんのところに滞在している。

 家探しは難航、というか、まだ、ちゃんと取り掛かれていなかった。
 毎日、宣人や留奈に神経をすり減らしてへとへとになってしまい、会社帰りに不動産屋巡りをする元気がでなかった。
 ネットで検索しているけれど、これといった物件は見つかっていない。

 彼ははいつまでいてもかまわない、と言ってくれているけれど、今週末には動かなければ。

 で、今晩、これまでのお礼の気持ちをこめて、ちょっと豪勢な夕食を作ってごちそうしようと思っていた。


 
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